家に到着すると、家族総出のお出迎えとなる。
当たり前だが、みんな心配なのだ。
特に子供たちには辛い現実だろう。
つい最近までちゃたろうは元気だったし、病院から帰ってくれば元気な姿に戻ると思っていたのだから。
ちゃたろうが家に着いてから先ずしたことはトイレなのだが、なんとトイレではなくキャリーバッグでしてしまった。
13年一緒に暮らして、トイレ以外の場所で用を足してしまうのは初めてのことだ。
黄疸の症状として、意識朦朧があると伝えられていた。
もしかしたらそのせいなのかもしれない。
もしくはトイレまで間に合わない、あるいは体力的にきついから、手近な場所でしてしまったのか。
ちゃたろうは久しぶりの家を懐かしむよう、お気に入りの場所を一通り巡る。
一カ所に落ち着くことなく、とにかく移動し続ける。
寝るときはいつも私の布団に来るので、まだ時間は早いが横になってみると、すぐにちゃたろうはやってきた。
いつもよりくっつくように丸まる。
ちゃたろうの体を撫でるも、とにかく痩せてしまった。
鳴き声は弱々しく、口からはヨダレが垂れっぱなしだ。
更に違和感があるなと思ったら、ゴロゴロ言わないのだ。
今まではすぐにゴロゴロ言ってたのに、全く言わなくなってしまったようだ。
ちゃたろうとこうして横になっていると、嫌な想像ばかりしてしまう。
どんな結果が待ち受けているのか、明日の病院が不安でたまらない。
いや、それよりも明日の朝、目を覚ますのが怖い。
ちゃたろうが動かなくなっている可能性が十分にあるのだから。
ここで排泄の話をしたい。
食事中の方は気をつけていただきたい。
おしっこはとにかく濃かった。
まるでトイレ砂の上で吐いたような感じで、粘着性のある液体が残ってしまっている。
うんちは2回ほどした。
入院中は一切しなかったと言うし、そもそも何も食べてないのに不思議だ。
こんなときに限って嫌な話を思い出してしまう。
「猫はきれい好きだから、死ぬ前に体の中の汚物を出そうとする」
というのだ。
この話といい、お気に入りの場所を巡る姿といい、どうしても嫌な方に結びついてしまう。
更には寝る場所だ。
いつもなら寝ないような場所で休んでいるのだ。
一番みんなから遠い部屋の隅っこで、じっとしているのだ。
嫌な予感しかしないが、明日の病院を控えている以上、こちらも寝ないわけにはいかない。
明日の朝、ちゃたろうが無事であることを祈り、眠りについたのだった。
side: ちゃたろう
しばらくボクのパートはお休みなのニャ。
主人がどう行動し、決断していくのか、読んで欲しいのニャ。